- 材の名前
- ニッキ
- 収集場所
- 嵯峨谷(和歌山県橋本市)
- 収集時期
- 2022年
ニッキ(ニッケイ=肉桂)はクスノキ科の常緑広葉樹で、香辛料としてよく知られている。シナモンと似た甘い香りがするが、シナモンはセイロンニッケイの樹皮を使用するのに対して、ニッキは根っこの皮の部分を利用する。樹皮、木部、葉っぱからも甘い香りが漂う。
地元のお年寄りは山のどこに何の木があるのかよく知っているが、特にニッキが生えている場所は正確に把握している。子供のころに根っこを掘り出して、おやつとしてよくかじったそうだ。気温が暖かくなるとエグみが強くなるので、冬に掘り出して少し干してからかじるのが良いと教わった。
調査不足かもしれないが、木材として活用したという話を聞くことができなかった。他の樹種と比べて乾燥した際の収縮率が大きく割れやすいのと、香りのせいか虫が入りやすいように感じた。木材としてあまり扱いやすい樹種ではなく、根っこに価値があるためそもそも伐採して材として活用するという考えにならなかったのかもしれない。