竹炭といえば消臭・調湿などの機能面でよく知られている。また詳細は省くが、自宅でミネラルウォーターを作る、米と一緒に炊飯するなど、多くのシーンで生活に取り入れることができる材でもある。本作はそんな竹炭を使用し、「空中に線を描く」というテーマから始まった。

竹炭を眺めていると、緩やかなカーブを描いたもの、真っ直ぐなものなど表情が豊かで、和紙に墨で描いたような線を連想した。そこで、モビールを作るように重心は探しながらも、自由に描画するような気分で構成を行った。竹炭によっては極細の穴を開けるだけで崩れてしまうものもあったが、そういった脆さが益々紙に描かれた一本の線を彷彿とさせ、生木にはない緊張感のある表情となったように思う。小さな衝撃で壊れそうではあるが、互いに触れそうな位置に配置した竹炭と番線が時折美しい音を奏でる。(W. I.)