nikki childhood

このコレクションは、デザイナーの拠点である和歌山県の里山で伐採されたニッキの木から作られている。里山のお年寄りは山に生えている生活に有用な木のことをよく知っているが、特にニッキの木が生えている場所をかなり正確に把握している。というのは、子どもの頃にニッキの木の細根を掘り起こし、おやつとしてかじっていたからだ。ニッキの根は乾燥させてからかじるとピリッとした辛みと甘い香りを味わうことができる。

彼らはニッキについて、根を掘り起こしすぎて大人に怒られたこと、隣村の子どもがニッキ目当てに山を越えて来て小競り合いなったこと、冬に採るとえぐみがなくて美味しいこと、さまざまな思い出を話してくれた。そんな話を聞くうちに、子ども時代のシンボルとして小さな椅子のシリーズを作ることを思いついた。

ニッキの木はその香りのためか虫に喰われやすく、この木も多くの虫に食べられて表面は本来の美しさを失ってしまっていた。そこで、里山に今も残る炭焼きにヒントを得て、すべての表面を炭化させることにした。不完全な形やテクスチャーは成長途中の子どもを思わせ、それ自体が影のようなシルエットは子ども時代の気配を感じさせるようなオブジェとなった。

制作
Isamu Hazama
制作年
2024
ニッキ